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企業庁、ものづくり補助金を拡充へ-利用上限3000万円

中小企業の設備投資を促す「ものづくり補助金」の1社当たりの利用上限が、これまでの1000万円から3000万円(補助率3分の2)に引き上げられることになった。4年目となる実施を前に中小企業庁が方針を決めた。IoT(モノのインターネット)など先進的な技術を用いた生産性向上などを対象とする新タイプが設けられる。環太平洋連携協定(TPP)を商機につなげてもらう狙いもあり、海外市場の獲得を目指す取り組みは優先的に採択する。16年2月にも公募が始まる見通し。

 産業界の需要を反映して、ものづくり補助金は年々拡充されてきた。製造業だけでなく、商業やサービス業も対象に加え生産プロセスの改善や新たなサービスや販売手法の導入に取り組む企業を広く支援する形に改められたのに続き、15年には複数企業が共同で進める取り組みも対象となった。16年は、さらにバリエーションが広がることになる。利用の中心である上限1000万円の「一般型」はこれまで通り継続する。

 利用上限3000万円の新タイプで想定するのは、「航空機分野への参入を目指す中小企業が長年蓄積してきた職人技をデータ化し、これを用いて製造できる装置を導入する」(中小企業庁技術・経営革新課)といったケース。中小企業の高い技術力を成長分野に生かすことを後押しする狙いだ。審査での加点項目とする海外展開については、単に仕様書を英訳するといったことではなく、海外ニーズを反映した商品開発であることや海外での提携先の獲得にめどが立っているなど具体的に示す必要がある。

 他方、多額の設備投資を伴わないサービスや試作品開発への使い勝手を良くするため、上限をこれまでの700万円から500万円に引き下げた「小規模型」も設ける。 

 ものづくり補助金は過去3年間で3万8000社以上が利用した人気施策。財源となる1020億円を盛り込んだ15年度補正予算案成立後、速やかに公募開始する予定。

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